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ちいさな呉服店がテキスタイルブランドをつくるまで vol.1

「キモノも布でできている」

宮城県仙台市、中心部から外れた住宅地の片隅でひっそりと営む呉服店が私の職場です。

母がひとりで立ち上げた「Yuian」という呉服店を一緒に運営するようになって12年ほどが経った2017年の1月。
いつもお世話になっている商工会の担当の方が、宮城県の小規模事業者を対象とした補助金を紹介してくれました。
普段から私たちのものづくりへの取り組みに関心を寄せてくれていた方だったので、その取り組みをひとつの形にしてみてはどうかとご提案をいただいたのです。

Yuianも含め多くの呉服店は、京都や東京、それぞれの地方問屋さんから商品を仕入れて販売しています。
業界が縮小していくにつれ、それまでの流通とは別に着物産地のメーカーさんと直接取引をするお店や、小売をはじめるメーカーさんも出てきたりと、その形態は多様化してきました。

そういった時代にちいさな呉服店がどう生き残っていくか、母であるおかみは元気ですがそれなりに年齢を重ねておりいつ引退してもおかしくない状況で、自分ひとりでなにができるかを思い悩んでいた日々。
商工会からの提案はそんなタイミングでのものでした。

それほど大きなプロジェクトはできないけれど、あたらしい呉服店のカタチをつくるきっかけにできるのではないかと思いトライしてみることに。

まず呉服店はお客様にとってどのような役割があるのかをもう一度、あらためて考え直しました。

ぼんやりと見えてきたのは、着物産地を通してその作り方や価値を伝えること。それを求める方に適正な価格で届けること。着るお手伝いをすること。着る場所を提供すること。お手入れやお直しをすること。

今もそうですが、着物業界では展示販売が主流です。3日や4日間のイベントを企画して予算をたてて集客・販売します。
すこしでも興味のわくものを、手に取りたくなるものを準備してお見せしますが、店によっては内容よりも集客や販売の手法ありき、企画ありきの展示会も少なくありません。

私はこのような展示会主流のやり方が得意ではありませんでした。
それでもやってこれたのはお客様に恵まれたこと。そしておかみの力です。

私がひとりで事業を引き継いでいくには、また違ったカタチをつくるしかないと思いました。

多くの時間を費やして行き着いたところは呉服店の原点回帰。
その昔、日本人がみな着物を着ていた頃。呉服店は布屋さんでした。
各家庭で仕立をするのが一般的だったので呉服店で生地を買い家で仕立てる。季節の変わり目にはそれまで着た着物を解いて洗い、次のシーズンまでの間に仕立てておく「衣替え」の習慣もありました。

そして布は着物に仕立てるのに無駄のない小幅の生地が主流。
それを着物として、または生活用品として切り売りしていたそうです。

現在の呉服店が着物という「衣服」を売っているのに対して、以前は単純に「布」として提供していたということを知り、いつのまにか着物業界にいるのだから「着物」を売らなければならないと思い込んでいることに気付きました。

そこから浮かんだ企画の種は「キモノも布でできている」ということ。

「着物」ではなく「布」をつくる。

ずっと着物を見てきた自分らしくニホンの風土や美意識を湛えたデザインで、使いやすいように広幅で布をつくり、それをカテゴリーにとらわれず着物はもちろん洋服や暮らしの道具といった現代の暮らしになじむカタチにしていこう。

そんな思いをかためて〔amane cu〕へのスタートをきりました。

vol.2へつづく。

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